看護師からCRCへ｜患者さんの笑顔を支える新しいキャリア

看護師の経験を次のキャリアへ。先を見据えた対応を、行動で示せるCRCになりたい

治験コーディネーター（CRC）

学生の頃、家族が大病を患ったことをきっかけに、病を持つ患者さんと関わる仕事に就くことを決心し、看護師の道を目指す。夜勤病棟での勤務中に腰を痛め看護師継続を断念、2022年4月に看護師の資格を活かせる仕事である治験コーディネーター（CRC）へ転職。現在は、仙台市内のクリニックで頭痛試験などを担当。

※本記事の所属・内容は取材当時のものです。

学生のころ、家族が大病を患いました。幸い病気を乗り越え、現在は元気に過ごしていますが、当時まだ中学生だった私は、抗がん剤治療を繰り返す家族のそばでどう接すればよいのか分からず、何も言葉を掛けられませんでした。この経験から、病気と向き合う患者さんにどのように寄り添えばよいのか学びたいと思い、看護師になる道を選びました。

看護師として病棟勤務をしていた3年目のある夜勤の日、患者さんの介助の際に腰を痛めてしまい、体力的に看護師を続けていくことに不安を感じるようになりました。その時、看護師の資格を活かしながら医療現場で働ける治験コーディネーターという仕事を知り、2022年4月に転職。企業で働くことへのあこがれもある一方、企業人としての知識がないため不安もありましたが、研修や先輩からビジネスマナーを教わり、今ではメールのやり取りなど問題なくできています。それ以上に、プロトコール（治験実施計画書）を読み込んだり、GCPといった治験を進める上で守るべきルールに沿った対応をしたりと、治験コーディネーターという仕事には想像していたよりも細かい配慮が必要だということに驚きました。

患者さんの生命・安全を預かる看護師と、治験薬を取り扱うCRC。ベクトルは異なりますが、どちらも大切な役割を担っており、責任が重大だということを業務を通して知りました。患者さんに安心していただけるために、患者さんの背景や人柄なども考慮して、説明や案内ができるようになるまで少し時間はかかりましたが、CRCとして3年、前よりは成長したのではないかと感じています。

現在は、市内のクリニックで頭痛の試験を担当しています。「頭痛」と一口に言っても、片頭痛や群発頭痛など、タイプや原因はさまざまであり、細かく分類すると数百を超える種類に上ります。そのため複数の頭痛試験が同時に進行することも多々あります。

なかには物心がついた頃からずっと頭が痛かった、という患者さんもいらっしゃいました。あるとき治験薬を服用して1ヶ月頭痛がなくなったという患者さんから「生活と人生が変わった」という言葉をお聞きし、治験をご案内して本当に良かったなと感じました。

副作用により、つらい思いをされる方もいらっしゃいますが、効果が出て喜んでくださることもあります。そのようなときは、患者さんの喜ぶ姿を一番近くで見ることができる、CRCならではのやりがいを感じます。世の中には、頭痛を当然のことと仕方なく受け入れている方もいて、病院を受診される方は少ないのが現状です。治験を治療法の一つとして選択し、症状が改善される患者さんが一人でも多く増えることを願っています。

私が勤務しているクリニックの先生は、CHIの社員をチームメンバーのようにとらえ、何にでも真剣に向き合ってくださる先生です。私たち治験コーディネーターは、治験の支援を通して、製薬企業からお褒めの言葉をいただくこともあるのですが、それを先生へ報告すると、先生はいつも「良かったね」と言って一緒に喜んでくださいます。患者さんの治験参加や治験終了など、皆で喜び合えるのもCRCの魅力の一つです。

血液検査や心電図などの結果を見ることができるなど、看護師時代に得た経験が活かせる場面もありますが、まだまだ勉強しなければならないことが多いと日々感じています。「先を見据えた事前準備をする」、言葉で言うのは簡単です。しかし実際の現場では、目の前のことに追われることが多く、先輩たちのように広い視野で、将来を見越した対応は十分にできていないのが現状です。まずは次に始まる新しい試験を円滑に進めるよう機敏な対応を心掛け、将来的にはオンコロジーなどこれまで経験の少ない疾患や、総合病院での治験支援にも携わり、いつか尊敬する先輩CRCのように成長していきたいと考えています。

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