
ePROとは?患者報告アウトカム(PRO)の基礎と電子化のメリット・課題を解説
医療分野に従事している方であれば、「ePRO(イープロ)」という用語に触れた経験のある方も多いのではないでしょうか。「e」が付くから電子化されて便利になったもの…そんなイメージはあるものの、具体的に何かと問われると答えに迷うこともあると思います。
本記事では、そんなePROについて基本的な情報からメリット・課題などを整理してお伝えします。
PRO(患者報告アウトカム)とは?
eがつかない「PRO」は「Patient Reported Outcomes」の略で、日本語では「患者報告アウトカム」と訳されます。「厚生労働省科学研究班開発患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)使用についてのガイダンス集」では、PROの定義として以下のように記載されています。
米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)から発出されている、医療用製品の申請においてPROを用いる際のガイダンス では、「PROとは、臨床家その他の誰の解釈も介さず、患者から直接得られた、患者の健康状態に関するあらゆる報告である」という定義づけがなされている。
簡単に言うと、PROとは患者さん自身が直接報告する健康状態や治療効果のことです。
新しい医薬品等の開発では、臨床試験を通じて有効性や安全性を確認する必要があります。近年では、臨床試験に参加する被験者自身が、新薬の有効性・安全性・有用性を評価するという考え方のもと、「PRO」が重要視されています。また、患者市民参画(Patient and Public Involvement: PPI)の重要性が再認識される中で、臨床研究の評価項目としてPROを設定することへの関心も高まっています。
PROで測定できるもの
以下は、PROで測定できるものの一例です。
- QOL (Quality of Life:生活の質)
- 自覚症状
- 全般的な健康状態や幸福度
- 治療に対する満足度
- 治療遵守状況 など
PROは、データ収集の頻度や実施場所によって、質問票と患者(被験者)日誌とに大きく分けられ、収集方法によって紙もしくはデバイスを用いた電子的な収集(Electronic PRO [ePRO]システム)かに分類されます。

患者市民参画(Patient and Public Involvement: PPI)とは:
「患者やその家族、市民の方々の経験や知見・想いを積極的に将来の治療やケアの研究開発、医療の運営などのために活かしていこうとする取り組み」のことです。
引用:PPI JAPAN:https://www.ppijapan.org/
CHIはYORIAILabに協賛し、PPIの活動を推進しています。
ePROのメリットと課題
電子機器を用いて収集するPROをePROと呼び、ePROシステムには大きく2つのタイプがあります。
- site PRO:医療機関でタブレットなどのデバイス通じて質問票を入力する方式
- eDiary:患者さんにデバイスを渡す、あるいは患者さんがアプリをインストールし、毎日入力してもらう方式
これらの仕組みにより、リアルタイムで正確なデータ収集が可能となり、督促機能によりアドヒアランスも維持しやすくなるなどの利点があり、すでに欧米で利用が進んでいます。具体的には、ePROでは入力時刻が自動的に記録されるため、紙の質問票(日誌など)で完全に回避できない“まとめ書き”を防ぎ、症状変化をより正確に把握できます。
また、未回答などを知らせるアラート機能により、データ欠測や入力ミスを抑制できる点も大きな利点です。記録の信頼性が担保されるだけなく、患者さんのアドヒアランス改善も期待できます。さらに、スマートフォンやタブレットの普及により、自宅や外出先からでも簡単に入力できるようになりました。
一方で、ePROを導入する上での課題も存在します。
- 導入時のコスト(システム構築やデバイス準備など)
- 職員へのトレーニング
- 患者さんへの事前指導
- サポート体制の構築(操作トラブル時の対応)など
また、疾患特性や長期フォローが必要な場合など、試験特性によっては、入力忘れから「欠測」となり、データの質に影響する可能性も考えられます。
CHIのコンタクトセンターでは、こうしたePRO利用時の課題を解決するため、製薬会社や医療機関などお客さまの悩みに合わせたサービスを提供しています。
コンタクトセンターが支えるePRO運用と患者サポート
CHIのコンタクトセンターでは、薬剤師・看護師・管理栄養士などの医療関連資格を持つスタッフでチームを構成し、製薬会社・医療機関・自治体・保険組合など幅広いお客さまにサービスを提供しています。
ePRO関連のサポート事例としては、全国約1万例の患者さんを対象とした長期臨床研究において、入力率向上を目指した「ePRO入力支援コンタクトセンター」を立ち上げました。これにより、入力率の達成だけでなく、アプリに関する問い合わせ対応や負担軽減費対応も担い、患者さんへの一括サポートを実現しました。その結果、利用者の不安軽減と試験運営スタッフの負荷軽減にもつながりました。
CHIでは、現場のさまざまなケースに合わせてサービスを組み合わせ、解決策をご提案しています。
これからも、治験から市販後の医療現場、さらには自治体など、人々の健康にかかわるあらゆる場面において、医療従事者や患者さんに寄り添い、課題解決に取り組んでまいります。
- 出典
患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)評価関連 特設ページ
厚生労働省科学研究班開発 患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO) 使用についてのガイダンス集:https://www.lifescience.co.jp/pro/article02-1.html#main厚生労働科学研究費補助金(政策科学総合研究事業) (総括)研究報告書 「患者報告アウトカム(patient reported outcomes:PRO)のICT化と社会実装推進のためのガイドライン作成に資する研究」:https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202103002A-soukatsu.pdf
患者報告アウトカム(patient reported outcomes:PRO)の ICT 化と社会実装推進のための研究に基づく提言書:http://jascc.jp/wp/wp-content/uploads/2021/06/e2b9636dbfc1ebd596ddc541a7cd2a03.pdf
治験におけるPatient Reported Outcomes ~臨床開発担当者のためのPRO利用の手引き~ 日本製薬工業協会 データサイエンス部会 タスクフォース7 Ver 1.0 2016年6月(2025年4月再掲):
https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/eo4se3000000878v-att/DS_202504_PRO.pdf








