
【第3回】CRCになるには?求められる資格・適性・キャリアパス
これまでCRC※の役割や業務内容をご紹介してきました。最終回となる今回は、「CRCになるにはどんな経験や資格が必要なのか?」という疑問にお答えします。医療の最前線に関わるCRCという職種に、どのような人が向いているのか、どんなキャリアが築けるのかを詳しく見ていきましょう。
※CRC:治験コーディネーター。Clinical Research Coordinatorの略。
目次[非表示]
- 1.CRCになる前は?前職や資格
- 2.CRCに必要な資格は?
- 3.CRC実務経験者向け|取得できる資格
- 3.1.CHIの研修制度
- 4.CRCに向いている人は?活かせるスキル
- 4.1.コミュニケーション能力
- 4.2.マルチタスク能力
- 4.3.正確性・事務スキル
- 4.4.柔軟性
- 4.5.傾聴・共感する力
- 5.CRCのキャリアパス
- 6.まとめ
CRCになる前は?前職や資格
看護師、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士などの医療資格や実務経験がある方が多いです。一方で、医療系のバックグラウンドを持たない方も多数在籍しており、医療資格や医療現場での経験がなくても、CRCとして活躍できるチャンスはあります。
CRCに必要な資格は?
CRCになるために特定の資格は必要ありませんが、医療資格を持っている人や、医療機関での実務経験を持っている人は大きな強みになります。
SMO※のCRCは医療行為を行いませんが、治験がスムーズに進行するよう、医師や看護師などの医療機関スタッフのほか、院内の各部署との調整業務が多い職種です。医療機関での実務経験で培われたコミュニケーション力や、調整力、柔軟性などは、CRCの業務でも強みとなります。
また、看護師や薬剤師など医療に関する背景・知識がある方は、治験実施計画書(プロトコール)の理解にも役立ちます。プロトコールには、「どのように治験を実施するのか」というルールが細かく書かれており、CRC業務を行ううえでは、まずはプロトコールの理解が不可欠です。医学・薬学の専門用語の知識があると、プロトコールを「正しく」「効率的に」理解することにつながります。
※SMO:治験施設支援機関。Site Management Organizationの略。
CRC実務経験者向け|取得できる資格
CRCになるために必須となる資格はありませんが、実務経験者向けに「公認CRC制度」などがあります。
日本SMO協会(JASMO)では、SMOで働くCRCの業務の質向上を目指し、2005年から「JASMO公認CRC試験」を実施しています。この試験に合格すると「日本SMO協会公認CRC」として認められるため、CHIでも、キャリアアップやスキルアップのために積極的なチャレンジが推奨されています。
このほかにも、日本臨床薬理学会の「認定CRC制度」や日本臨床試験学会の「JSCTR認定GCPパスポート」、日本癌治療学会の「認定がんCRC制度」などがあります。このような認定制度の受験・更新に必要な要件は各団体によって異なりますが、試験勉強や研修会・講習会への参加、学会での発表などを通して、資格が得られるだけではなく、実務で活かせる最新の知識が得られるなど、多くのメリットがあります。
CHIの研修制度
シミックヘルスケア・インスティテュート(CHI)では、入社後に独自の研修制度を通じて、CRCとして必要な知識とスキルを身につけることができ、専攻や業界経験を問わず、安心してスタートできる環境が整っています。
以下に、研修の一部をご紹介します。
導入研修(新卒・中途) | 薬機法やGCPなど、業務に必要な法規を中心に、座学やロールプレイを通じて実践的な知識・スキルを習得します。 |
フォローアップ研修(新卒・中途) | 中途入社者は入社後6か月、新卒新入社員は入社後9か月を目処に実施する専門講座で、教育内容の理解度の向上など導入研修の総まとめを目的に実施しています。 |
継続研修 | 行動経済学、ゲノム医療、GCP-Renovation、グリーフケアなど、医療業界の最新トピックスを取り上げた研修を隔月で開催。急速に進化する医療業界の最新情報を学びます。 |
倫理研修(ELSI研修:Ethical, Legal, and Social Issues) | 医療倫理や医療安全について、国内トップクラスの専門家を講師に招き、レベルに応じた最新の知識を学びます。 |
CRCに向いている人は?活かせるスキル
CRCとして活躍するために求められるスキルはひとつではありませんが、患者さんや医療機関スタッフと一緒に治験を進めるうえで、特に以下のようなスキルが大切です。
コミュニケーション能力
CRCは、治験参加者の対応のほか、医師や看護師など医療機関スタッフとの調整業務が多く、コミュニケーション力が重要です。
たとえば、治験参加に不安を抱える患者さんに対しては、専門用語をかみ砕いて説明し、相手の気持ちに寄り添う力が必要です。一方で、医師や医療機関スタッフとのやり取りでは、通常の診療の合間に要点をまとめて相談するなど、簡潔に話す力も必要となります。
マルチタスク能力
CRCは、治験参加者の対応や医療機関の各部署との調整、書類作成など、さまざまな業務を同時に進めることが求められます。そのため、状況を整理しながら優先順位をつけ、複数のタスクを並行して進めていくマルチタスク能力が重要になります。
正確性・事務スキル
治験では、記録の正確性が求められます。医師のカルテの確認や、症例報告書(CRF:Case Report Form)の作成補助・入力、治験薬の管理など、正確に行うことが求められます。
またCRC業務は、書類の作成補助やファイリング、メールのやり取り、社内での報告など、いわゆる「事務作業」も多いのが特徴です。複雑なPCスキルは必要なく、入社後の研修でも学べますが、「事務作業が苦にならない人」が向いているといえます。
柔軟性
CRCは医療機関での治験が円滑に進むようサポートする役割ですが、急なスケジュール変更や、治験参加者の体調変化など、予定通りに進まないこともあります。
想定外のことが起こったときにも、冷静に状況を整理して対応できる「柔軟性」が大切です。
傾聴・共感する力
相手の立場に立って傾聴・共感する力は、CRCとして働くうえで大きな強みです。
診療を受ける患者さんの多くは、不安や疑問があっても、診察時間内にすべてを医師へ伝えられないことが少なくありません。CRCが医師の説明のサポート役として、治験参加者の不安に寄り添いながら疑問を解消することで、治験についての理解が深まり、円滑な進行につながります。
日々のコミュニケーションを通して信頼関係を築き、「この人になら話せる」と思ってもらえる存在になることが重要です。
CRCのキャリアパス
CRCとして実務経験を積んだ後のキャリアは、「専門性を高める」「管理職・マネージャーを目指す」など、さまざまな選択肢があります。CHIなどのSMOに所属するCRCの場合は、社内の配置転換や異動によって、本社部門・別の事業で活躍する道へキャリアチェンジする人もいます。
①CRCとして専門性を高める
CRCのスペシャリストとして、オンコロジー領域の難しい試験を担当するなど、専門性を高めていくキャリアです。実務のほか、社内外の認定制度にチャレンジしたり、特定の領域の知識を深めたり、常に新しいことを学ぶ姿勢も大切です。
社内の認定制度の例として、CHIでは、以下のような制度を設けています。
- Highly Specialized CRC: 特定領域での経験と研修を積み、高い専門性を認定する制度
- PANDA (Protocol and Disease Advisor): 希少疾患領域など必要性の高い領域を得意とするCRCを認定する制度
- オンコロジーCRC: 専門医による試問や実践的な研修を通じて、がん領域に特化したCRCを育成(4段階の認定制度)する制度
②管理職・マネージャーを目指す
CRCとしての実務経験を活かして、リーダー職や教育担当としてキャリアアップを目指す道もあります。
CRCの業務は多岐にわたるため、管理職としてマネジメントを行う際にも「現場の視点」が重要です。実際にCHIのSMO事業では、管理職であるオフィスディレクターやリーダー層であるマネージャーのほとんどが、CRCや治験事務局担当者(SMA:Site Management Associate)のバックグラウンドを持っています。
管理職やリーダーとしてチームをマネジメントして大きな成果を目指すことは、CRC業務とは違った「やりがい」も「大変さ」もありますが、会社の利益や経営にかかわる重要なポジションです。
③SMO社内・グループ企業でのキャリアチェンジ
SMOで働くCRCの場合は、社内の他部署への配置転換などで、医療・ヘルスケア領域での多様なキャリアパスがあります。たとえばCHIでは、SMA職や、本社のプロジェクトマネジメント部門、営業部門にも、CRCの実務経験を持った社員が多く活躍しています。
また、CHIには、コンタクトセンターや被験者募集、患者サポートプログラム(PSP)、特定保健指導などの事業部門もあるため、CRC経験を活かして新しいキャリアにチャレンジすることもできます。
さらに、グループ企業の開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)など別の事業に異動し、新しいキャリアを切り拓くことも可能です。
まとめ
3回にわたって、CRCの仕事やキャリアについてご紹介してきました。CRCは、新薬開発において重要な役割を担い、医療の最前線で治験参加者や医療現場、そして社会に貢献できるやりがいのある職種です。
医療資格や医療系のバックグラウンドは即戦力としての強みになりますが、資格や経験がなくても、研修制度を通じてスキルを身につけることができ、幅広いバックグラウンドの方が活躍しています。医療に関心があり、人と関わる仕事がしたい方は、ぜひCRCというキャリアを検討してはいかがでしょうか。
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シミックヘルスケア・インスティテュート(CHI)は、「くすりの一生から、ひとの一生まで」をコンセプトに医療関連施設を中心に総合的な支援を行っています。
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