変化するライフステージのなかで、CRCとして働き続ける
看護師・看護教員を経てSMOへ転職。2008年CHIへ入社後は、第一線のCRCとして活躍しながらマネジメントにも携わってきました。現在はCRCの支援や若手CRCをフォローする新たな役割を担っています。
看護師・看護教員を経てSMOへ転職。2008年CHIへ入社後は、第一線のCRCとして活躍しながらマネジメントにも携わってきました。現在はCRCの支援や若手CRCをフォローする新たな役割を担っています。
変化するライフステージのなかで、CRCとして働き続ける
SSIカンパニー 熊本オフィス: N.Yさん
大学では、看護師免許に加え、看護教員・養護教員の資格を取得。看護師として勤務後、看護学校の教員へ転身。その後、「看護師経験を活かせる新しい仕事」として治験コーディネーター(CRC)に出会い、SMO業界へ。2008年CHI(旧サイトサポート・インスティテュート)へ転職後は、CRCとして長年現場で活躍しながら、チームやオフィスのマネジメントにも携わる。2025年には、長期勤務者へ贈られるThanks Awardを受賞。現在は育児と両立しながら、CRC支援や若手フォローの役割を担っている。
※本記事の所属・内容は取材当時のものです。

治験コーディネーター(CRC)とは:
CRC (Clinical Research Coordinator)は、治験を実施する医師などの指示のもと、治験の円滑な進行をサポートする役割を担っています。医師や医療機関スタッフ、患者さん、製薬企業など、各関係者との調整は、治験支援には欠かせない業務の一つです。
大学では教育学部に所属し、看護師免許に加え、看護教員・養護教員の資格も取得したN.Yさん。卒業後は看護師として働き始めましたが、夜勤を含む不規則な働き方は心身ともに大きな負担でした。「この先も長く続けていけるだろうか」。そんな思いから、教育の道へ転向することを決意します。看護学校の教員として、未来の看護師を育てる日々。学生一人ひとりと向き合い、医療や看護の知識、心構えなどを教えることは楽しく、やりがいも感じていましたが、勤務地が遠方だったこともあり、将来を見据えたときに再び“働き続ける難しさ”を感じるようになります。
そんな時に出会ったのがCRCという仕事です。当時はまだ今ほど一般的ではなく、「こんな仕事があるんだ」と心を動かされたといいます。看護師としての経験を活かせることにも魅力を感じ、“新しい挑戦”への期待を胸に治験業界へ飛び込みました。さらに、「熊本で働けるかもしれない」という点も、大きな後押しに。当時の熊本には小規模のSMOが複数あり、その一つへ転職しました。しかし実際には、入社後すぐに佐賀県にある提携施設へ転勤することとなり、そこでもまた「長く働き続ける」という壁に直面します。
その後、一度医療業界を離れ、コールセンターへ転職。新しいシステムの操作方法をスタッフへ説明する業務を担当しました。そこで改めて気づいたのは、自分はやはり“誰かに伝えること”が好きなのだということ。どうすれば相手に分かりやすく伝わるのかを考え、時間をかけて向き合う。その結果、「助かった」「分かった」と笑顔を向けてもらえる瞬間が、何よりのやりがいになっていました。教員時代に感じていた喜びは、形を変えても変わらず自分の中にあったのです。
そんなある日、街で偶然、以前一緒に働いていた先輩CRCと再会します。現在の熊本オフィス オフィスディレクターで、当時すでにCHIへ転職していました。先輩からの「また一緒に働かない?」という一言が、再びCRCとして歩み始めるきっかけとなりました。
CRCとして経験を重ねるなかで、今でも強く印象に残っているのが、2009年頃に担当した心疾患のグローバル試験です。当時はまだグローバル試験自体が珍しく、英語の書類やこれまで経験したことのない対応も多く、まさに毎日が手探りでした。
その試験は、急性期(※)の患者さんを対象としたもの。発症後すぐに説明・同意取得(IC)を行う必要がありましたが、始めのうちは、なかなか同意取得につなげることができませんでした。病室で苦しそうに横たわる患者さんを前にすると、「こんなにつらい状況で、治験の説明を受けるのは難しいのではないか」と、どこかでそう感じてしまっていたのだと思います。
そんな時、責任医師の先生からかけられたのが「説明は悪くない。でも、もう少し工夫できるかもしれないね」という言葉です。当時は中堅CRCとして、自分で考えながら業務を進めることが増えていた頃。その言葉に、はっとさせられたといいます。今振り返れば、先生も「患者さんを紹介しているのに、なぜ同意取得につながらないのだろう」と、もどかしさを感じていたのかもしれません。
その出来事をきっかけに、自分の説明方法を一から見直しました。急性期領域を経験している先輩CRCへ相談し、アドバイスを受けながら試行錯誤を重ねる日々。すると、少しずつ同意取得率が上がり、試験も前へ進み始めたのです。この経験を通じて、「何を伝えるか」だけではなく、「どう伝えるか」が、患者さんの理解や意思決定に大きく影響することを強く実感しました。また、当時の担当CRA(モニター)は、ただ指示を出す存在ではなく、一緒に悩み、考え、動いてくれる心強いパートナーでした。責任医師の先生も積極的に患者さんを紹介してくださり、「みんなでこの治験を成功させよう」という空気が自然と生まれていきました。
一人では乗り越えられなかった試験が、チームで支え合ったからこそ前に進んだ。今振り返っても、「みんなで作り上げた治験だった」という感覚が、強く心に残っています。CRCとしてのやりがいを、改めて深く実感した経験でした。
また、オフィスで初めて新型コロナウイルス関連の大型試験を受託した際にも、チームの支えを強く感じました。土日も出勤するほど忙しい時期に妊娠が分かったのですが、周囲のメンバーは「座れる仕事をして」「無理しないで」と自然に声をかけてくれたのです。
多くを語らなくても気づき、支えてくれる仲間がいる。そんな温かな環境に囲まれながら働けていることを、改めてありがたく感じました。
※急性期:症状が急に現れる時期、病気になり始めた時期。
これまでのN.Yさんは、「自分の頑張り次第で何とかなる」と信じて走り続けてきました。忙しい時には残業も当たり前。その働き方に疑問を持つことは、ほとんどなかったといいます。
しかし、出産・育児を経験したことで、その価値観は大きく変わりました。
育休復帰後、時短勤務でCRC業務へ戻ったものの、想像以上に負荷は大きく、体調を崩してしまったのです。「このままでは周囲に迷惑をかけてしまう」。そう感じ、退職まで考えて上長へ相談しました。
その時に提案されたのが、“メイン担当ではなく、経験を活かして支援やバックアップを担う”という働き方。通常、一つの試験をメインCRCが担当しますが、その中で手が届きにくい部分を支える役割です。最初は迷いもあり、やはり辞めた方がいいのではとも考えました。それは長年、「CRCはメイン担当を持ってこそ」と思い、第一線で働いてきたからです。それでも、「やる前から可能性を閉ざしたくない」。そう考えなおし、新しい働き方に挑戦することを決めました。今では、複数案件の支援や非盲検対応、若手フォローなど、“今の自分だからこそできる役割”にやりがいを感じています。またCRCとして関わり続けながら、家庭とのバランスも無理なく保てるようになりました。
子育てを経験したことにより、周囲への見え方も変わったといいます。管理職時代は、自らの経験から「努力が結果につながる」と信じていました。しかし子育てを通して、自分の力だけではコントロールできない出来事に数多く直面し、頑張りだけでは解決できないこともあるのだと気づかされたのです。今は、その人なりの事情や葛藤があるのかもしれない、と想像できるようになりました。
「もし当時に戻れるなら、もっと寄り添えたかもしれない」。そう振り返るN.Yさんは、現在、若手や中途入社メンバーのメンタル面を支える役割も担っています。業務を教えるだけではなく、「一人で抱え込まなくていい」と伝えられる存在でありたい——。それは、自分自身が悩みながらも働き続けてきた経験があるからこその想いです。
昇格や異動、結婚、出産。これまでさまざまな変化を経験してきました。それでも長く働き続けられているのは、その時々で新しい役割や出会いがあり、自分らしい働き方を見つけてこられたから。
子どもの成長からたくさんの刺激を受けながら、自分自身もまた、変化を恐れずに成長していきたい。
そんな思いを胸に、これからも歩みを進めていきたいと考えています。

治験コーディネーター(CRC)について詳しく知りたい方へ
看護師や臨床検査技師など、医療資格を活かして活躍できるCRCの仕事内容やキャリアについてご紹介しています。
FAQ
Q.
A.
CHIでは育児休業制度や時短勤務制度を活用しながら活躍しているCRCが多数在籍しています。ライフステージに応じた働き方を相談できる環境があります。
Q.
A.
はい。患者さんへの対応や医療知識、医療機関とのコミュニケーションなど、看護師として培った経験を活かして働くことができます。
Q.
A.
CRCとして経験を積んだ後は、教育担当やマネジメント職、専門領域のスペシャリストなど、多様なキャリアを描くことができます。
Q.
A.
医療資格や医療機関での勤務経験をお持ちの方など、CRC未経験でも挑戦可能な求人もあります。入社後の研修やOJTを通じて業務を習得できます。
シミックヘルスケア・インスティテュートでは、さまざまなバックグラウンドを持つ治験コーディネーター(CRC)が活躍しています。入社のきっかけや仕事のやりがい、キャリアの歩みなど、先輩社員の声をぜひご覧ください。
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