大学・大学院では新規化合物探索の研究を行っており、もともと新薬開発には関心がありましたが、将来を考えるにあたって在学中に参加した会社説明会で、CRO(医薬品開発業務受託機関)やSMO(治験施設支援機関)といった治験に携わる企業の存在を知り、治験業界により一層興味を持ちました。そのなかで、データを主に扱う臨床開発モニター(CRA)より、患者さんと直接かかわることのできる治験コーディネーター(CRC)に魅力を感じ、SMO(治験施設支援機関)への就職を決意。CRCになった今、薬の効果を実感した患者さんの言葉や表情を、患者さんの傍で見ることができています。これは、研究室の中では決して見ることのできなかった光景であり、こうした瞬間を目の当たりにすると、CRCを選んで本当に良かったと心から思います。
新卒社員としてシミックグループへ入社した2020年4月は、ちょうど新型コロナウイルス感染症が拡大していて、研修はすべてリモートで行われました。同期メンバーとは3年後の研修で初めて顔を合わせ、対面でのコミュニケーションの重要性を再認識しました。同期はそれぞれの地域で成長しており、その活躍は社内外の表彰や社員インタビューからも窺い知ることができます。
最初に配属されたのは岡山オフィスで、この4年間では、認知症や非アルコール性脂肪肝(NASH)などの試験を担当しました。CHIには、幅広い疾患・領域を担当するCRCや、複数の医療機関を担当するCRCなどがおり、担当業務のあり方はさまざまですが、岡山オフィスでの私は、特定の医療機関で特定の分野を深く学ぶスタイルのCRCだったと思います。
神経内科専門のクリニックでは、複数の認知症試験を担当していました。1日にとても多くの患者さんが来院され、類似しているけれども異なる対応をいくつも行う必要がありました。それでも院内では大きな混乱もなく、CRC同士が協力し合い、自然に業務分担がなされる環境が築かれていました。仕事の仕方をはじめ、ここで数多くの試験を担当した経験は、今なお自分の糧となっています。
もちろん最初は、不安なこともたくさんありました。私の準備を待ってくださる看護師さんの横で、焦っていた頃を思い出します。経験不足の私が、院内の流れを止めてしまうのではないかと、発言や対応も恐る恐るになっていたこともありました。でも分からないときは先輩がいつでも教えてくれましたし、チームメンバーに助けてもらいながら、少しずつ成長することができました。今にして思うと些細なことではありますが、院内のスピードの波に乗り、患者さんの対応をスムーズに進められたときは、とても嬉しかったのを覚えています。
治験に参加してもらって良かったと思うのは、患者さんやその介護者の方から「症状の緩和を感じた」とか、「数値が落ち着いてきた」といったコメントを聞いたときです。また担当した試験の薬剤が承認され、薬剤の添付文書に自分が対応した事例が記載されているのを見たときは、新薬開発の一部に自分が携われたことを目に見えて実感できました。将来の医療に少しでも役立てていることを家族も誇りに思い、応援してくれています。
地元仙台に戻ってきてから1年が経ちました。慣れた場所での生活は安心感もありましたが、その一方でこれまで経験のなかった疾患・領域を担当することとなり、最初は不安も大きかったです。ちょうど今担当している肺がん試験で、被験者候補となる患者さんが見つかり、同意取得や検査などの準備のため慌ただしく動いていますが、経験豊富な先輩に多くの時間を割いてもらい、疑問や不安点を解消しながら業務を進めています。また大学病院での担当が開始するため、病院ならではのルールや運用を一から覚えたり、そこで初めて担当する疾患の勉強をしたりしています。また既に進行中の試験を引継ぎながら、メイン担当として新しい試験の立ち上げも予定しています。とても忙しい毎日ですが、今が成長のチャンスと捉え、全力で励んでいます。
CRCとして心掛けているのは、患者さんにとって話しかけやすい存在であることです。日常的に信頼関係を築いておけば、ささいな体調の変化も何気ない会話からキャッチすることができます。そのため、待合室でのちょっとした時間も大切にしています。また、高齢の患者さんの場合は、納得されるまで何度でも確認を行い、認識をすり合わせることを重視しています。状況や背景に応じて、患者さんに適した対応ができるよう、常に柔軟でありたいと考えています。
今後は大規模な医療機関でさらに幅広く疾患・領域の経験を積み、「この人なら安心して任せられる」「難しい案件だけれど、この病院にぜひ行ってほしい」と思ってもらえるような、頼りがいのあるCRCを目指しています。
治験コーディネーター(CRC)とは:
CRC(Clinical Research Coordinator)は、治験を実施する医師などの指示のもと、治験の円滑な進行をサポートする役割を担っています。医師や医療機関スタッフ、患者さん、製薬企業など、各関係者との調整は、治験支援には欠かせない業務の一つです。
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